世界一かわいい猫種、アメリカンショートヘア。あのむっちりした体を見ると、ぎゅっと抱きしめたくなる気持ち、よく分かります。
ただ、アメショは人なつこい一方で、「そばにいるのは好きだけど、抱っこはちょっと……」という子も少なくありません。これは性格の問題ではなく、猫という動物の自然な感覚です。
この記事では、猫に負担をかけない抱っこのしかたと、体を触られることに少しずつ慣らす方法をまとめました。触られることに慣れておくと、爪切り・歯みがき・通院がぐっと楽になります。
正しい抱っこのしかた
ポイントは「体全体を支えて、宙ぶらりんにしない」ことです。
- 猫の横か後ろから、そっと近づく(正面から急に手を伸ばさない)
- 片手を前足のすぐ後ろ、胸の下に差し入れる
- もう片方の手で、後ろ足とお尻を下から支える
- そのまま持ち上げ、自分の胸やおなかに猫の体を引き寄せる
- 猫の体が横向き〜やや縦向きで、足が自分の腕や体に乗って安定していればOK
アメショは見た目以上にずっしりしています。その重みは、すくすく育っている証拠。お尻をしっかり支えてあげましょう。
やってはいけない持ち方
| NGな持ち方 |
理由 |
| 脇の下だけを持って持ち上げる |
下半身がぶら下がり、体に負担がかかる。不安定で嫌がりやすい |
| 首の後ろ(首根っこ)をつかむ |
母猫が子猫を運ぶ動作に似ていても、成長した猫には負担。痛みや恐怖につながる |
| しっぽや足を引っぱる |
けがの原因になる |
| 嫌がっているのに抱き続ける |
抱っこそのものが嫌いになる |
下ろすときも、放り出さずに足が床に着いてから手を離すのが基本です。
嫌がっているサイン
猫は、嫌なときにちゃんとサインを出しています。次の様子が見えたら、無理せず下ろしてあげましょう。
- しっぽを大きくパタパタ、バタンバタンと振る
- 耳を横や後ろに倒す(イカ耳)
- 体をよじる、後ろ足で腕を押す
- 皮膚がピクピク動く
- 低い声でうなる、「シャー」と言う
- ひげが後ろに引かれ、瞳孔が急に大きくなる
しっぽの気持ちについてはしっぽでわかるアメショの気持ちでもくわしく紹介しています。
コツは「嫌がる前に下ろす」こと。最初は数秒抱っこして、すぐ下ろしておやつ。これをくり返すと、「抱っこ=いいことがある」と覚えてくれます。
触ってOKな場所・苦手な場所
個体差はありますが、一般的には次のような傾向があります。
| 触られてうれしいことが多い場所 |
苦手なことが多い場所 |
| あごの下、ほっぺ |
おなか |
| 耳の付け根、額(眉間) |
しっぽ |
| 首まわり、背中 |
足先・肉球 |
| しっぽの付け根(好きな子と苦手な子がいる) |
口のまわり、耳の中 |
おなかを見せてゴロンとしているのは「信頼しているよ」のサインであることが多いのですが、「おなかを触っていいよ」という意味とは限りません。触ったとたんに猫キックが飛んでくることもあります。そのツンデレぶりまで含めて、アメショはたまらなくかわいいのです。
口・耳・足先に慣らす練習
苦手な場所こそ、少しずつ慣らしておくと将来のケアがラクになります。
| 慣らす場所 |
将来役立つケア |
| 足先・肉球 |
爪切り |
| 口のまわり・歯ぐき |
歯みがき、口の中のチェック |
| 口を開ける |
飲み薬を飲ませる(投薬) |
| 耳 |
耳の汚れチェック、点耳薬 |
練習は次のステップで、1回数秒〜数十秒から始めます。
- リラックスしているときを選ぶ:眠そうなとき、なでられてゴロゴロ言っているときがチャンス
- 好きな場所から触る:あごの下や頬をなでて、そのまま流れで少しだけ苦手な場所へ
- ほんの一瞬触ったら、すぐ離す:足先を1秒握る、口の横をそっとめくる、耳をやさしく折り返すなど
- ごほうびをあげる:おやつや、大好きななでなでで「いいこと」とセットにする
- 慣れてきたら少しずつ長く:肉球をそっと押して爪を出す、歯ぐきに指で触れる、など段階を上げる
嫌がったらその日は終わりにして、次は一つ前の段階に戻しましょう。子猫のうちに始めるのが理想ですが、成猫からでもゆっくり進めれば慣れていく子は多いです。
練習の先の爪切りの手順ははじめての爪切り、歯みがきやブラッシングはアメショの毛の手入れで紹介しています。ブラッシングも、触られることに慣れるいい練習になります。
子どもへの教え方
アメショは子どもとも比較的なじみやすい猫種といわれますが(アメショの性格と飼いやすさ)、猫にとって子どもの急な動きや大きな声は怖いものです。家族みんなで、次のルールを共有しておきましょう。
- 抱っこは大人と一緒のときだけ。小さい子は、座った状態でひざに乗せてもらう
- 寝ているとき、ごはん中、トイレ中は触らない
- 追いかけない。猫が自分から来たときになでる
- しっぽを引っぱらない、ぎゅっと強く抱きしめない
- 猫が逃げたら「今はイヤなんだね」と追わない
「なでるのは、あごの下と背中をやさしく」と、具体的に教えてあげると子どもにも分かりやすいです。
急に触られるのを嫌がるようになったら
これまで抱っこや、なでられるのが好きだった子が、急に嫌がるようになった場合は、体のどこかに痛みがある可能性があります。
- 特定の場所(腰、おなか、足など)を触ると怒る、鳴く
- 抱き上げようとすると嫌がる、うなる
- 高いところに上らなくなった、動きが少なくなった
- 食欲や元気がない、体の一部をしきりになめる
関節の痛み、けが、おなかの不調、口の中のトラブルなど、原因はさまざまです。性格が変わったと決めつけずに、こうした変化が続くときは動物病院で相談しましょう。シニア期の子は特に、関節の痛みが隠れていることがあります。
まとめ
- 抱っこは「胸」と「お尻・後ろ足」の2点で支える。脇だけで持ち上げない
- しっぽパタパタ、イカ耳は「もうやめて」のサイン。嫌がる前に下ろす
- 口・耳・足先は、一瞬触ってごほうび、を少しずつ
- 急に触られるのを嫌がるようになったら、痛みを疑って受診を
腕の中で目を細めて、ゴロゴロとのどを鳴らすアメショ。その重みとぬくもりは、飼い主だけが知っている世界一のしあわせです。シリーズのほかの記事ははじめてアメショを飼う人へからどうぞ。