シニア期(7歳〜)

シニアのアメショの慢性腎臓病|早く気づくサイン、検査の数値の見方、おうちでできるケア

公開:2026年10月29日

この記事は一般的な情報をもとにまとめたもので、動物看護師による内容の確認を順次進めています。診断や治療の判断は、必ずかかりつけの動物病院で行ってください。

世界一かわいい猫種、アメリカンショートヘア。年を重ねて、ひなたで長いお昼寝をするようになったアメショの穏やかな寝顔は、何時間でも眺めていられるかわいさです。

そんなシニア期のアメショに、ぜひ知っておいてほしい病気が慢性腎臓病です。アメショだけに多い病気ではなく、猫全般、とくに高齢の猫にとても多くみられる病気です(アメショが気をつけたい病気)。初めのうちはほとんど症状が出ないため、「気づいたときには進んでいた」となりやすいのが特徴です。

この記事では、早く気づくためのサイン、検査で見る数値、治療とおうちでのケアをまとめました。診断や治療の方針は、その子の状態によって大きく変わります。最終的には必ずかかりつけの動物病院で相談してください。数字はすべて目安です。

慢性腎臓病はどんな病気?

腎臓は、血液から老廃物をこして、おしっことして外に出す臓器です。体の水分や塩分のバランス、血圧、赤血球をつくる働きにも関わっています。

慢性腎臓病は、この腎臓の働きが数か月〜数年かけて少しずつ落ちていく病気です。壊れてしまった腎臓の組織は元に戻らないため、治療の目標は「治す」ことではなく、進むスピードをゆるやかにして、その子らしく過ごせる時間を延ばすことになります。

腎臓には余力があり、働きがかなり落ちるまで症状が出にくいといわれます。だからこそ、元気なうちからの健康診断が大切です。

早く気づくためのサイン

時期 見られやすい様子
初期 水を飲む量が増える、おしっこの量が増えて色が薄くなる、トイレの砂の塊が大きくなる
進んでくると 少しずつ痩せる、食べムラが出る、毛づやが悪くなる、吐く回数が増える、便秘
さらに進むと 食欲がない、ぐったりしている、口が臭う、口の中に潰瘍ができる、貧血(歯ぐきが白っぽい)

アメショは食欲旺盛な子が多いので、「ごはんをちょっと残すようになった」「お気に入りのおやつに飛びつかなくなった」という小さな変化も、大事なサインになります。

水を飲む量の目安

猫が1日にとりたい水分は、体重1kgあたり40〜60mlほど(フードの水分も含む)が目安です。飲んだ量とフードの水分の合計が、体重1kgあたり100mlを超える日が続くなら、早めに相談しましょう。5kgのアメショなら、1日およそ500mlです。飲水量チェッカーで、その子の目安を計算できます。

水を飲む量やおしっこの量が増える病気は、慢性腎臓病のほかに糖尿病や甲状腺機能亢進症などもあります。自己判断せず、検査で確かめてもらいましょう。

検査で見る数値と、IRISのステージ分類

慢性腎臓病は、主に血液検査と尿検査で見つかります。

検査 見るもの
血液検査 クレアチニン(CRE)、SDMA、尿素窒素(BUN)、リン、カリウム、貧血の有無
尿検査 尿の濃さ(尿比重)、たんぱく(尿たんぱく/クレアチニン比)、細菌や結晶
血圧測定 高血圧。腎臓病に伴うことが多く、放っておくと目や心臓に負担がかかる
エコー検査 腎臓の大きさや形、のう胞・結石の有無

SDMAは、クレアチニンより早い段階で上がりやすいとされる比較的新しい検査項目です。クレアチニンは筋肉の量に影響されるため、筋肉が落ちた高齢の猫では低めに出ることがあります。

進み具合は、国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)のステージ分類で表されることが多いです。猫の場合、おおむね次のように分けられます。

ステージ クレアチニン(mg/dL) SDMA(μg/dL) 様子の目安
1 1.6未満 18未満 症状はほぼない。尿の濃さやエコーなどで異常が見つかる段階
2 1.6〜2.8 18〜25 症状は軽いか、ほとんどない
3 2.9〜5.0 26〜38 食欲が落ちる、痩せるなどの症状が出やすい
4 5.0超 38超 体調を崩しやすく、集中的な治療が必要になりやすい

ステージは、脱水がなく体調が安定しているときに、2回以上の検査をもとに判断されます。1回の数値だけで決まるものではありません。さらに、尿たんぱくと血圧でも細かく分けられ、治療の方針を決める手がかりになります。

基準値の中でも、毎年少しずつ上がっていることがあります。健康診断の結果の紙は捨てずに残し、前回と比べてもらいましょう(アメショの健康診断)。

治療で行われること

治療の内容はステージやその子の状態によって変わり、獣医師が組み立てます。よく行われるものは次のとおりです。

  • 食事療法:リンやたんぱく質などを調整した、腎臓病用の療法食。IRISの治療の推奨でも、ステージ2以降で療法食への切り替えが勧められています
  • 水分補給:脱水を防ぐための皮下輸液(皮膚の下に点滴を入れる方法)。病院で教わって、おうちで行うこともあります
  • お薬:血圧を下げる薬、尿たんぱくを減らす薬、リンの吸収を抑える薬、吐き気止め、食欲を助ける薬など
  • 定期的な検査:数値や血圧、体重の変化を見ながら、治療を調整します

療法食や薬は、自己判断で始めたり、やめたりしないでください。療法食は、まだ必要のない若い猫や、ほかの病気がある猫には合わないことがあります。

おうちでできるケア

水を飲みやすくする

  • 水の器を家の何か所かに置く
  • 器を広くて浅いものにする(ひげが当たるのを嫌がる子もいます)
  • 流れる水が好きな子には、循環式の給水器を試す
  • ウェットフードを取り入れて、食事から水分をとる(療法食中は、病院で相談してから)

好奇心旺盛なアメショは、新しい給水器に興味津々で前足でちょいちょい触ったりします。その様子もまたかわいいのですが、慣れるまでは今までの器も一緒に置いておきましょう。

体重と食べる量を記録する

月に1回、体重を量って記録しましょう。ペット用の体重計のほか、猫を抱っこして人の体重計に乗り、人の体重を引く方法もあります。食べる量が減っていないか、痩せてきていないかは、治療を調整するうえで大事な情報です(急に痩せたとき)。

腎臓に負担になるものを避ける

ユリの花や花粉、ぶどう・レーズン、保冷剤の中身、人の痛み止めなどは、腎臓に重い障害を起こすことがあります(猫に危ない食べ物)。シニア期は特に、手の届く場所に置かないようにしましょう。

ストレスの少ない暮らし

トイレは段差の低いものにして、寝床は暖かく静かな場所に。シニア期の住まいの工夫はシニア期のアメショと暮らすにまとめています。

受診の目安

すぐに受診(夜間でも動物病院へ連絡)

  • おしっこが出ない、トイレに何度も行くのに少ししか出ない(おしっこが出ないとき)
  • ぐったりして動かない、何度も吐く
  • 丸1日以上ほとんど食べない・飲まない
  • けいれんしている、急に目が見えていないような動きをする

早めに受診

  • 水を飲む量・おしっこの量が増えた状態が続く
  • 少しずつ痩せてきた、食べムラが出てきた
  • 吐く回数が増えた(吐くとき)
  • 口が臭う、毛づやが悪くなった

次の健康診断で相談

  • 7歳を過ぎたら、血液検査(SDMAを含むと安心)・尿検査・血圧測定を
  • 前回より数値が少し上がっていると言われた

よくある質問

Q. アメショは腎臓病になりやすい猫種ですか?

アメショに特に多いという病気ではなく、猫全般に多い病気です。年齢とともに増えるので、アメショもシニア期には注意が必要です。アメショで特に気をつけたいのは、心臓の病気(肥大型心筋症)です。

Q. 腎臓病と診断されたら、もう長くないのでしょうか?

そうとは限りません。早い段階で見つかり、食事や水分補給などのケアを続けることで、穏やかに長く過ごす猫もたくさんいます。進み方には個体差が大きいので、今の状態と見通しを獣医師に聞いてみましょう。

Q. 予防のためにできることは?

慢性腎臓病は加齢とともに起こることが多く、確実な予防法はありません。水分を十分にとれる環境づくりと、定期的な健康診断で早く見つけることが、いちばんの備えになります。

まとめ

慢性腎臓病は、シニアのアメショにとって身近な病気です。水を飲む量・おしっこの量・体重の変化に気づいたら早めに相談し、7歳を過ぎたら健康診断で血液検査・尿検査・血圧を受けておきましょう。世界一かわいいアメショと、1日でも長く穏やかに暮らすために、今日から水の器をひとつ増やすところから始めてみてください。

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